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家庭健康管理研究会

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連載 12 食欲と味覚と消化について 食欲は脳でコントロール

食欲は、一般に空腹感によって引き起こされることが多いのですが、必ずしも食欲=空腹感になるとは限りません。例えば何らかの病気が原因で食欲過剰をきたした場合には、十分な満腹感があっても食欲は衰えない、その反対に食欲不振に陥ると、空腹感があるにもかかわらず食欲が起きないことがあります。
通常、人間のからだは、血液中の栄養素の増減や体温の変化、抹消血管でのブドウ糖の利用状態などの情報が脳の視床下部にある摂食中枢(外側視床下部)と満腹中枢(腹内側核)に伝えられ、食事が必要になるかどうかを判断します。
たとえばブドウ糖の利用度が高い(血糖値が高い)場合には満腹中枢が刺激されて摂食中枢の働きを抑制し、逆の場合には摂食中枢が活発になり、食欲が高まるのです。
ところが精神的ストレスや外傷、病気などにより視床下部に異常が生じると、こうした情報伝達が円滑に出来なくなり、生理的な状態を無視した前述のような食欲異常が起きることになるのです。
尚、視床下部から出される信号は、さらに大脳辺縁系と呼ばれる部位に伝えられ、そこで視覚や味覚、嗅覚、触覚、聴覚など感覚器からの様々な情報の影響を受けながら、具体的な食欲となって表れるのです。近年、ブドウ糖以外にも、インスリンなどのホルモンや脂肪酸も食欲を左右する情報源となっていることが分かってきています。

早食いの弊害

食欲は血糖値やホルモン、脂肪酸など様々な情報によって視床下部がコントロールしているわけですが、それらの情報が実際に満腹感となって認識されるまでには、食べ始めてから20~30分かかります。
これは一般的な食事時間とほぼ同じで、言い換えれば、この程度の時間で食べ終わるくらいの食事が適量ということになります。
ただ、ここで問題になるのが、食べる速さです。十分に食べ物を咀嚼し、落ち着いて食べればよいのですが、5分や10分で飲み込むように食べてしまうと、満腹感を感じる前に食事が終わってしまうことになります。もし満腹感を味わおうとすれば、人よりも多く食べなければならず、当然、肥満になりやすく、胃腸にかかる負担も大きくなります。
反対にゆっくり食べれば、少ない量でも満腹感は得られるわけで、太りすぎが気になる人は、時間をかけて食事をとるように心がけるといいでしょう。

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